この話は大体が嘘で構成されています。

 計画というものに苦手意識がある。と言っても、苦手そのものなのだけれど。

 あれは確か大学2回生になる直前のことだった。

 大学1回生の春、大学側の不手際か何かで郵送された追加の教科書があった。その教科書代が後になって請求されたのだけれど、それを払いに行くのに半年以上かかった。

 別に金銭的に切羽詰まっているわけではなかった。生まれが裕福なものだったから、奨学金とは都市伝説の類いだと思っていたし、実家のある関東から関西の大学に入学したのも、まあ、正直に言えば、桃色の性生活を楽しむためで、それがなんの不安もなくできたのは親の仕送りがあったからという、いや、まあ、なんと言うか、つまり、バイト代もしっかりと溜まって、家賃光熱費諸々の心配が無い状態だったから、決して、教科書代が払えないというわけではなかった。

 であれば、何故たったの2000円弱が払えなかったのだろう。それを説明するには、時間という概念について説明する必要がある。しないけど。

 まあ時効なので白状するが、大学一回生の2月、春休みのことだが、私は特にすることも無いのでウイスキーと炭酸水を買い込んで、一人ハイボール祭りというものを開催していた。深夜に起床して昼までハイボールを飲みながらアニメを見るというものである。鳴り止まぬ幾人もの女子からの電話を無視しながら行うその祭りは非常に楽しかった。インターホンが鳴るようになってからのことは別の話だが。

 閑話休題。教科書の話に戻そう。

 それで、深夜から飲み続けて酔いがまわりだした朝方、私の頭には行わなくてはならないタスクが蚊帳の外の虫みたく羽音を轟かせていた。教科書代を振り込まなくてはならない。しかし、教科書代を振り込むのは問題ないが、その工程には問題がある。金はあるがそれを振り込みに銀行へ向かう時間が惜しい。酔いがまわっている青少年にはその程度の労力が、二日酔いの中で8時間程のアルバイトへ向かうものよりも重かった。

結局その教科書代を振り込んだのは、大学事務部より通達された最後通告的な、それに似通った何かが郵送されてからのことだった。

 正直今でもその気はある。何故こんなどうでもいいことを書いているかというと、それに似た状況が今この身に降りかかっているからだ。

 払わなきゃまずいかな?本当に面倒くさい。